街道をゆく 22 南蛮のみちI 司馬遼太郎
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バスクは浮世の国ではない。常世の、本質的な国であるような感じがする──日本史のなかでもっとも印象的だった「南蛮人」の代表、宣教師フランシスコ・ザビエルの痕跡を求め、パリからザビエルの生地であるバスク地方へと訪ね歩く。


☆日本にキリスト教を伝えた宣教師ザビエル。彼の足跡をたどるのだが、ポルトガルでもスペインやフランスでもない「バスク」が彼の母国だとは初耳だった。サッカーでよく聞くスペインのクラブチーム「バルセロナ」も実はバスクの代表と言うのも初めて知った。どうもフランスやスペインと言った近代広域国家への帰属意識がなく、中世の王国のままの意識でひっそり生きて来た人達らしい。今巻はこの「バスク」についてが話題の中心で、遂にはバスクの大統領に面会する事に。少数民族、言語についての考察が詳しく、美しい自然の描写とも相まってシリーズでも白眉の出来ではないだろうか。ザビエルと言う誰でも知っている有名人から、ほとんど知られていない「バスク」についての知識を得るのには知的満足感を覚えた。

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